2012年9月6日木曜日

赤いインク

アナログの雑記を書く時に使うペンに、神戸のpen and messageというお店のオリジナルインク「朱漆」を入れて使っている。暗い色調の赤いインクだ。

赤いインクというのは何となく、校正や添削に使うものという固定イメージが自分の中にあって、一般の筆記用にはどうだろうと、衝動買いしたものの、使いどころがなかった。

ところが夏の間、母が見ていたテレビを一緒に何気なく眺めると、稲川淳二さんが紹介されていた。怪談とかやる、あの人だ。有名な方なので説明はいらないと思うが、その稲川淳二さんの公演用の覚え書きなのか、何かは分からなかったが、A4サイズぐらいの白無地の紙に、赤いインクでびっしり整然と、活字のように整った独特の書体で筆記されたノートの映像が、ワンカットだけ映った。
いわゆる達筆というのとは違うかもしれないが、とても綺麗な字を書く人だと、びっくりした。手書きでああいう原稿が書ける人は非凡なように思う。

それにしても、どうして赤いペンで書いてあるんだろう?
やっぱ怪談の人だし?
何かちょっと血染めみたいな?
いわくは分かりませんが。

とにかく、それを見て、赤いインクでも別にフツーに書くのに使えばいいんだという納得感があって、いつまでも死蔵せずに使うことにした。書いてみると落ち着いた赤で、文字にインクの濃淡が割と顕著に出るのが、万年筆で書いたわという満足感のあるインクだと思う。

大勢に名を知られているような人物というのは、どこかしら非凡だったり突飛だったりするものなんだろうか。
以前、戦場カメラマンの渡辺陽一さんという人のノートをネットでたまたま見た時もそう思った。
あの、ゆっくり喋るおじさんだ。
そのノートには過去に職業上体験された出来事や、出会った人々のこと、写真、いろんな国の紙幣とか、ざっくりいえば「思い出」が記録されているらしいのだが、大事だからという理由で、レンガで装丁されている。
レンガでノートを装丁しようって思って、実際にやってる人がいるなんて。しかもそれを持ち歩いてたなんて。
世の中にはいろんな人がいる。

わけの分からない世の中だ。ノートぐらい好きにすりゃいいんだなと思う。
インクが赤だろうが黒だろうが些細なことだ。

関係ないのだが、うちの子供が毎朝見ている「シャキーン」というEテレの子供番組に、「ジャストタイム」というコーナーがあって、「16秒後にジャストタイムと叫べ!」とかいうミッションを与えられるのだが、それと同時に何とも言えず気の散る映像が流される。
夏場、その映像のひとつが、稲川淳二さんが怪談を語っている緊迫のシーンで、映像が気になって16秒数えるのが無理すぎた。しかも16秒の時点で映像がブツっとカットされて終わってしまうので、続きが気になってしょうがない。
Eテレの人はよくもあんな、もやっとするもんを作ってくれたな。


とりとめもないですが、無事に生きてるよってことで書きました。
妊娠性の貧血やら、だらだら残っているツワリやらで、しんどいんですが、新しく人間ひとり作ろうってなると、それはまあそれなりに、なかなか大変ですよね。
特に大変な瞬間は夜中で、寝相の悪いムスメと一緒に寝ていると、回転蹴りとか普通にあるわけですが、それと同時に胎動でも蹴られまくったりすると、内外からフルボッコされているという稀有な状態だなと、しみじみ眠れません。二人がかりで殴る蹴るの暴行です。それでも何ともなく生きてるんだから、人間てけっこう大雑把な作りなんですね。でなきゃ生きてられないか。
寝苦しい夜も、もうじき終わりが見えてくる季節かと思います。皆さんもお元気で。

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